札幌 心療内科 精神科 メンタルクリニック札幌大通
会食恐怖(かいしょくきょうふ)について
会食恐怖とは、他者と同席して食事をとる場面において、強い不安や恐怖を感じる状態を指します。
しばしば「緊張しやすい」「恥ずかしがり屋」などと誤解されることがありますが、医学的には**社交不安障害(Social Anxiety Disorder:SAD)**の一型として分類されることが多いです。
主な症状
会食恐怖では、他人の前で食事をする際に、以下のような心理的・身体的反応が認められます。
?食べる様子を他者に見られることへの恐怖
?うまく食べられないのではないかという不安
?むせる、吐くなどの失敗に対する過剰な心配
?顔の紅潮、発汗、手の震え、動悸などの身体症状
これらの不安により、外食や職場・学校などでの食事を回避するようになることがあります。
症状が進行すると、家族との食事すら避けるなど、社会生活に著しい支障をきたす場合もあります。
発症要因
発症には複数の要因が関与すると考えられています。主なものは以下の通りです。
?過去の失敗経験(食事中の嘔吐、むせ込み、周囲の反応など)
?他者からの評価に対する過敏さ
?不安傾向や完璧主義などの性格特性
?環境要因(学校・職場でのストレス、対人関係の圧力)
神経生理学的には、扁桃体を中心とする不安関連の神経回路が過活動状態にあることが報告されています。
診断と治療
会食恐怖は、精神科または心療内科における問診や心理評価によって診断されます。
社交不安障害の一症状として診断される場合もあり、以下の治療法が有効とされています。
?認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)
不安を引き起こす認知の偏りを修正し、現実的な思考・行動を形成します。
?段階的暴露療法(Gradual Exposure Therapy)
不安を感じる状況に段階的に慣らすことで、恐怖反応を軽減します。
?薬物療法(Pharmacotherapy)
必要に応じて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や抗不安薬が用いられることがあります。
治療にあたっては、本人の不安の程度、生活背景、合併症の有無などを考慮し、総合的に治療方針を決定することが望ましいです。
周囲のサポート
会食恐怖を有する方に対しては、周囲の理解と適切な支援が重要です。
無理に会食の場へ誘う、あるいは「気の持ちよう」といった言葉で済ませることは、症状の悪化につながる可能性があります。
本人のペースを尊重し、プレッシャーを与えない環境づくりが求められます。
会食恐怖は、単なる性格傾向ではなく、社交不安障害の一形態として臨床的意義を有するものです。
不安や恐怖により社会生活に支障をきたす場合には、早期に専門機関へ相談することが推奨されます。適切な治療および環境調整により、多くの症例で症状の軽減や社会適応の改善が期待できます。